034 漁師を弟子にする(弟子たちの召命)

ルカによる福音書5:1~11(マタイ4:18~22、マルコ1:16~20)

01イエスがゲネサレト湖畔に立っておられると、神の言葉(→神から出る言葉=福音)を聞こうとして、群衆がその周りに押し寄せて来た
→マタイによる福音書4:23~25
イエスはガリラヤ中を回って、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、また、民衆のありとあらゆる病気や患いをいやされた。そこで、イエスの評判が(ユダヤ人共同体があった)【シリア】中に広まった。人々がイエスのところへ、いろいろな病気や苦しみに悩む者、悪霊に取りつかれた者、てんかんの者、中風の者など、あらゆる病人を連れて来たので、これらの人々をいやされた。こうして、【ガリラヤ】、【デカポリス】、【エルサレム】、【ユダヤ】、【ヨルダン川の向こう側】から、大勢の群衆が来てイエスに従った。

02イエスは、二そうの舟が岸にあるのを御覧になった。漁師たちは、舟から上がって網を洗っていた。
→漁師は、網に付着したゴミを取り、また網に着いた魚の油が乾燥し、それが原因で網がいたむのを防ぐために、網を洗った。

03そこでイエスは、そのうちの一そうであるシモンの持ち舟に乗り、岸から少し漕ぎ出すようにお頼みになった。そして、(当時、教師が座って教えたように)腰を下ろして舟から群衆に教え始められた。

04話し終わったとき、シモンに、「沖に漕ぎ出して網を降ろし、漁をしなさい」と言われた。
05シモンは、「先生、(漁師の)わたしたちは、(網を下ろし)夜通し苦労しましたが、何もとれませんでした。しかし、お言葉ですから、網を降ろしてみましょう」と答えた。

06そして、漁師たちがそのとおりにすると、おびただしい魚がかかり、網が破れそうになった。

07そこで、もう一そうの舟にいる仲間に合図して、来て手を貸してくれるように頼んだ。彼らは来て、二そうの舟を魚でいっぱいにしたので、舟は沈みそうになった。
→従順なシモン(5節)たちに対して、イエスは大きく応えられた。

08これを見たシモン・ペトロは、イエスの足もとにひれ伏し(=平伏し)て、「(→5節の「先生〈ラビ〉」から「主(キュリオス)」に気持ち〈言い方〉が変わっている)よ、わたしから離れてくださいわたしは罪深い者なのです」と言った。
→シモン・ペトロ:シモンの愛称である「ペトロ」(ギリシア語)とヘブライ語の愛称である「ケファ」は、両方とも「岩」を意味する(ヨハネ1:42)。シモンはイエスが選んだ最初の弟子である。
→ペトロはイエスの内にある神の栄光をはっきり認め、自分自身が罪深い者だと悟った。

09とれた魚にシモンも一緒にいた者も皆驚いたからである。

10シモンの仲間、ゼベダイの子のヤコブもヨハネも同様だった。すると、イエスはシモンに言われた。「恐れることはない。今から後(のち)、あなたは人間をとる漁師になる。」
→ヤコブとヨハネはイエスの弟子になった。
→十二人を選ぶ:マタイによる福音書10:1~4(マルコ6:7~13、ルカ9:1~6)
イエスは十二人の弟子を呼び寄せ、汚れた霊に対する権能をお授けになった。汚れた霊を追い出し、あらゆる病気や患いをいやすためであった。十二使徒の名は次のとおりである。まずペトロと呼ばれる❶シモン(=ペトロ)とその兄弟❷アンデレ、ゼベダイの子❸ヤコブとその兄弟❹ヨハネ、❺フィリポと❻バルトロマイ(=ナタナエル:ヨハネ1:45~49、21:2)、❼トマスと徴税人の❽マタイ、アルファイの子❾ヤコブと❿タダイ、(ローマに抵抗する反体制グループである)熱心党の⓫シモン、それにイエスを裏切ったイスカリオテの⓬ユダである。

11そこで、彼らは舟を陸に引き上げ、すべてを捨てて(→完璧な献身、服従)イエスに従った(→デボーション)。

【参考】 デボーション
デボーションdevotionは、「誓願により身を捧げる」を意味するラテン語 devotio に由来し「神への信仰」あるいは「敬虔」を意味する。

【参考】 捨てて

【参考】 残して