020 イエスが受けた3つの誘惑(マタイによる福音書4:1~11)
→マルコによる福音書1:12~13、ルカによる福音書4:1~13
❶第1の誘惑
01さて、イエスは(この世の支配者の)悪魔から誘惑(→試み)を受けるため、“霊”(=聖霊)に導かれて荒れ野に行かれた。
→Then Jesus was led by the Spirit into the wilderness to be tempted by the devil.
→悪魔:サタン=サタナス(ヘブライ語)、ディアボロス(ギリシア語)=訴える者
悪魔はこの世の支配者である(→マタイによる福音書4:9)。
→誘惑→試み:ペイラゾウ(ギリシア語)
⓵(悪魔の)誘惑:tempt人間の持つ欲望がサタンによって利用され、破滅に追いやられる誘惑
⓶(神 の)試み:test
→荒れ野 伝統的に、誘惑の場所はエリコを見下ろす山であると言われている。
⓵神と会う場所、⓶試練を受ける場所、⓷悔い改めを経験する場所
02そして四十日間、昼も夜も断食した後、空腹を覚えられた。
→ルカによる福音書4:1b~2 そして、荒れ野の中を“霊”によって引き回され、四十日間、悪魔から誘惑を受けられた。その間、何も食べず、その期間が終わると空腹を覚えられた。
→断食(何も食べず)
⓵神との親密な関係を持つ、⓶深い悲しみと悔い改めの表現
03すると、誘惑する者(→悪魔)が来て、イエスに言った。「神の子なら、これらの石がパンになるように命じたらどうだ。」
→悪魔は、イエスが「神の子」であることを知っていた(→マタイによる福音書3:17 そのとき、「これはわたしの愛する子、わたしの心に適う者」と言う声が、天から聞こえた)。そして、イエスが「神の僕」としての道を歩むか否かを試している。
04イエスはお答えになった。「『人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる』/と書いてある。」
→申命記8:3b 人はパンだけで生きるのではなく、人は主の口から出るすべての言葉によって生きることをあなたに知らせるためであった。
❷第2の誘惑
05次に、悪魔はイエスを聖なる都に連れて行き、(キドロンの谷が眼下にある)神殿の屋根の端に立たせて、
06言った。「神の子なら、飛び降りたらどうだ。『神があなたのために天使たちに命じると、/あなたの足が石に打ち当たることのないように、/天使たちは手であなたを支える』/と書いてある。」
→詩編91:11、12の曲解 主はあなたのために、御使いに命じて/あなたの道のどこにおいても守らせてくださる。彼らはあなたをその手にのせて運び/足が石に当たらないように守る。
07イエスは、「『あなたの神である主を試してはならない』とも書いてある」と言われた。
→申命記6:16 あなたたちがマサ(→民が不平を言って神の忍耐を試した場所、出エジプト記17:1~7、民数記20:2~13)にいたときにしたように、あなたたちの神、主を試してはならない。
❸第3の誘惑
08更に、悪魔はイエスを非常に高い山に連れて行き、世のすべての国々とその繁栄ぶりを見せて、
09「もし、ひれ伏してわたしを拝むなら、これをみんな与えよう」と言った。
→悪魔は、この世の支配者である。
→ヨハネの手紙一2:16 なぜなら、すべて世にあるもの、❶肉の欲、❷目の欲、❸生活のおごりは、御父から出ないで、世から出るからです。
→❶肉の欲:食欲、性欲等、
→❷目の欲:目立ちたいという欲等
→❸生活のおごり:自分を高めたいという権力欲、自分に栄光を帰したいという欲等
10すると、イエスは言われた。「退け、サタン。『あなたの神である主を拝み、/ただ主に仕えよ』/と書いてある。」
→申命記6:13 あなたの神、主を畏れ、主にのみ仕え、その御名によって誓いなさい。
11そこで、悪魔は離れ去った。すると、天使たちが来てイエスに仕えた。
→仕えた:ディアコネオウ(ギリシア語)=仕え続けた(未来完了形)。
最初の人、アダムへの悪魔の試みは、成功だった。しかし、第二の人、キリストへの試みは、完全な失敗でした。これは、新しい王の天の王国には、悪魔の入る余地が全くないことを示している。
【参考】 書いてある
【参考】 キドロン