デカポリス(Decapolis)

新約聖書「マタイによる福音書4:25」と「マルコによる福音書5:20、7:31」に登場するパレスチナにおけるギリシアの10の植民地の町の総称である。

「10」を意味する「deca デカ」と「町」を意味する「polis ポリス」、つまり「10の町」という意味である。

サマリアとガリラヤの東にある異邦人の10の都市連合で、これらの都市の建物はアレキサンダー(アレキサンドロス3世)大王に征服された後にギリシア建築に倣って設計され、おのおのの都市は典型的なギリシア都市のようであった(BC4世紀後半)。これらの都市の住民は異邦人が多く、生活様式もギリシア風であった。

デカポリスの諸都市はそれぞれ議会を持ち、その周辺地域を支配、貨幣鋳造権、裁判権、暦に関する権限を持っていた。またゲラサやフィラデルフィヤの発掘で知られるように、円柱のある幅広い街路、円形広場、神殿、野外劇場などがあった。

また、東方におけるギリシア都市として、ギリシア語を話す移民の者たちを多く引き付け、アラム語文化圏の中におけるヘレニズム文化の中心になっていた。

デカポリスの町は、❶ガダラ、❷カナタ、❸ゲラサ、
❹スキトポリス、❺ダマスコ、❻ディオン、❼ヒッポス、
❽フィラデルフィア、❾ペラ、❿ラファナの町々である。

これらは、アレクサンドロス3世(大王)の後継者たちによって建てられた。
うち❺ダマスコだけは北方に離れて位置し、ヘレニズム以前からの古い歴史を持つ。