世界を変えた四大スパイス

イエスが生まれた時、最初のクリスマス・プレゼントは、「黄金」「乳香」「没薬」でした(マタイによる福音書2:11)。乳香(にゅうこう)は白い樹液で甘い香りがします。また、没薬(もつやく)は強い苦みのある樹脂です。あのニコデモも、十字架後、イエスに「没薬」と「沈香」を混ぜた物を持ってきました(ヨハネによる福音書19:39)。

イエスは、世界を変えました(使徒言行録6:14)。

乳香や没薬と同じように、世界を変えたスパイスが、ケーキなどに使われる「ナツメグ」「クローブ」「シナモン」、そして「コショウ」の四つと言われています。

▶ナツメグは、杏子やスモモに似た黄色い果実が実り、熟すと実が裂け赤い格子状の仮種子が見えるようになります。その種子を乾燥させ、その中にある仁を取り出してすりつぶしたものがナツメグです。

▶クレオパトラが愛したクローブは、フトモモ科のチョウジノキという植物から採られます。花蕾(からい)というつぼみを乾燥させてスパイスにします。甘く濃厚な香りとしびれるような刺激的な風味があります。年二回収穫できますが、クローブは、非常に高い位置に蕾をつけるため、ほかのスパイスと比較しても高価です。古くから、中国、インド、ヨーロッパなどで薬として重要な役割を果たしていたクローブは、ペストやコレラが大流行していた17世紀のヨーロッパでは、伝染病の原因が悪臭にあると考えられていたため、空気の浄化に香り高いクローブが使われました。

▶シナモンは、ニッケイ属の複数の樹木の内樹皮から得られる香辛料です。ニッキ(肉桂〔ニッケイ〕の音変化)とも言われ、生薬として用いられるときには桂皮(ケイヒ)と呼ばれます。熱帯各地で幅広く栽培され、香り高く、「スパイスの王様」と呼ばれます。ほのかな甘みを感じさせる独特の香りとわずかに舌に残る辛みをもつシナモンは、世界でももっとも古くから知られているスパイスです。

▶コショウは、コショウ科コショウ属のつる性植物の実を乾燥させてコショウにします。ブラックペッパー、ホワイトペッパー、グリーンペッパーの3種類がありますが、中身は同じで、収穫時期や加工方法が違うだけです。

☞マタイによる福音書2:11
家に入ってみると、幼子は母マリアと共におられた。彼らはひれ伏して幼子を拝み、宝の箱を開けて、黄金、乳香、没薬を贈り物として献げた。

☞ヨハネによる福音書19:39
そこへ、かつてある夜、イエスのもとに来たことのあるニコデモも、没薬と沈香を混ぜた物を百リトラばかり持って来た。

☞使徒言行録6:14
わたしたちは、彼がこう言っているのを聞いています。『あのナザレの人イエスは、この場所を破壊し、モーセが我々に伝えた慣習を変えるだろう。』