稲むらの火(いなむらのひ)

1854年(嘉永7年/安政元年)の安政南海地震津波に際しての出来事をもとにした物語。

地震後の津波への警戒と早期避難の重要性、人命救助のための犠牲的精神の発揮を説く。小泉八雲の英語による作品を、中井常蔵が翻訳・再話したもので、文部省の教材公募に入選し、1937年から10年間、国定国語教科書(国語読本)に掲載された。防災教材として高く評価されている。

もとになったのは紀伊国広村(現在の和歌山県有田郡広川町)での出来事で、主人公・五兵衛のモデルは濱口儀兵衛(梧陵)である。

あらすじ
村の高台に住む庄屋の五兵衛は、地震の揺れを感じたあと、海水が沖合へ退いていくのを見て津波の来襲に気付く。祭りの準備に心奪われている村人たちに危険を知らせるため、五兵衛は自分の田にある刈り取ったばかりの稲の束(稲むら)に松明で火をつけた。火事と見て、消火のために高台に集まった村人たちの眼下で、津波は猛威を振るう。五兵衛の機転と犠牲的精神によって村人たちはみな津波から守られた。

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』稲むらの火

参考HP:稲むらの火の館 稲むらの火と津波対策

「これはただ事ではない」とつぶやきながら、五兵衛は家から出てきた。
今の地震は、別に烈しいというほどのものではなかった。しかし、長いゆったりとしたゆれ方と、うなるような地鳴りとは、老いた五兵衛に、今まで経験したことのない不気味なものであった。・・・

混沌の海がバビロンに襲いかかり/バビロンは高波のとどろきに覆われた。
(エレミヤ書51章42節)