茨(いばら)

キリストは受難において、茨(いばら)の冠を頭にかぶらせられました。

この茨は、エルサレム周辺でも簡単に見つかるイスラエル原産のバラ科の常緑樹「トゲワレモコウ」(=シラー、トゲハマナツメ)とされています。

「トゲワレモコウ」は、とげが長く硬いので、今でも有刺鉄線のように使われ、侵入防止の柵にからめたり、羊を守る石垣の上に置いて、獣の侵入を防ぐのに役立っているそうです。

聖書(創世記)では、いばらは最初の人アダムとエバが、エデンの園で罪を犯した結果、地面から生え出てきたものであると記されています。
→創世記3:17~18
神はアダムに向かって言われた。「お前は女の声に従い/取って食べるなと命じた木から食べた。お前のゆえに、土は呪われるものとなった。お前は、生涯食べ物を得ようと苦しむ。お前に対して/土は【茨】とあざみを生えいでさせる/野の草を食べようとするお前に。堅いとげでチクリと刺すいばらは、私たち人類の罪を象徴するものになりました。

聖書には「茨」が53回、48聖句に登場します(旧約:37回/35聖句、新約:16回/13聖句)。

【参考】新約聖書に登場する「茨の冠 a crown of thorns」についての聖句

【参考】トゲワレモコウ
バラ科サルコポテリウム属、常緑低木、学名:Sarcopoterium spinosum、
原産地:イスラエル
はた目からみるとトゲの塊のような小さな樹木。実はキリストの茨の冠に使われたという伝承のある植物である。イスラエルなどでは乾燥地から湿地までいたるところに生えているという。火力があり、火の焚き付けに使うと大きな音をたてるらしい。トゲが鋭いので、現地では羊よけなどに植えるという。日本ではあまり見られない珍しい植物である。キリストの茨の冠に使われたといわれる植物は、他に「キリストイバラ」という植物(現存?)があり、どちらかははっきりしない(東京都薬用植物園)。