022 最初の弟子たち(ヨハネによる福音書1:35~51)

アンデレとヨハネ

35その翌日(→審問の日から3日目)、また、(バプテスマの)ヨハネは二人の弟子(ヨハネとアンデレ)と一緒にいた。
→ヨハネは、「ヨハネによる福音書」の著者のヨハネである。
→ユダヤ教の習慣では、ラビ(①巡回ラビ、②定住ラビ)の周りに弟子(タルミディム:ヘブライ語、ユダヤ教では、生徒は自分でラビを見つけることになっていた。)たちが集まった。

36そして、歩いておられるイエスを見つめて、(バプテスマのヨハネは)「見よ、神の小羊だ」と言った。

37⓵二人の弟子(❶ヨハネと❷アンデレ)はそれを聞いて、イエスに従った。

38⓶イエスは振り返り、彼らが従って来るのを見て、「何を求めているのか」と言われた。⓷彼らが、「ラビ――『先生』(→師匠、師)という意味――どこに泊まっておられるのですか」と言うと、

39⓸イエスは、「来なさい。そうすれば分かる」(→受容の言葉)と言われた。そこで、彼らはついて行って、どこにイエスが泊まっておられるかを見た。そしてその日は、イエスのもとに泊まった。午後四時(ギリシア語では「第10の時」となっている、日没の約2時間前)ごろのことである。
→ユダヤ式:AM6時から数える、ローマ式:AM0時から数える。
→Sequimini Me(セクイミニ メ:我に従え)

ペトロ

40(バプテスマの)ヨハネの言葉を聞いて、イエスに従った二人のうちの一人は、シモン・ペトロ(→兄)の兄弟アンデレ(→弟)であった。
→シモン・ペトロの弟アンデレは、ベトサイダ出身(1:44)の漁師、兄のシモン・ペトロとガリラヤ湖の北岸にあたる重要な漁業の町カファルナウム(=カペナウム、強制的に税金集めをするローマ兵の拠点)に暮らしていた(マルコ1:21、29)。
シモンはアラム語でケファ(Ⅰコリ1:12、9:5)、またはギリシア語でペトロ(マタイ16:18)の愛称で呼ばれていた。これらの名は共に「岩」を意味する。シモンとアンデレの父はヨハネと呼ばれた。

41彼は、まず自分の兄弟シモン(→兄)に会って、「わたしたちはメシア――『油を注がれた者』という意味――に出会った」と言った。
→まず:真っ先に、最初に、何はともあれ、他のものに先んじて

42そして、❸シモン(→アンデレの兄シモン・ペトロ)をイエスのところに連れて行った。イエスは彼を見つめて、「あなたはヨハネの子シモンであるが、ケファ――『岩』という意味――と呼ぶことにする」と言われた。

フィリポ

43その翌日、イエスは、ガリラヤへ行こうとしたときに、❹フィリポに出会って、「わたしに従いなさい」と言われた。

44フィリポは、アンデレとペトロの町、ベトサイダの出身であった。

ナタナエル

45フィリポは❺ナタナエル(バルトロマイ、本名:ナタナエル=神は与える)に出会って言った。「わたしたちは、モーセが律法に記し、預言者たちも書いている方に出会った。それはナザレの人で、(ナザレ出身の大工)ヨセフの子イエスだ。」
→モーセが律法に記し、預言者たちも書いている:キリスト教徒が旧約聖書と呼ぶユダヤ教聖書のこと。

46するとナタナエルが、「ナザレから何か良いものが出るだろうか」と言ったので、フィリポは、「来て、見なさい(→見て確かめなさい)」と言った。

47イエスは、ナタナエルが御自分の方へ来るのを見て、彼のことをこう言われた。「見なさい。まことのイスラエル人だ。この人には偽りがない。」

48ナタナエルが、「どうしてわたしを知っておられるのですか」と言うと、イエスは答えて、「わたしは、あなたがフィリポから話しかけられる前に、いちじくの木の下にいるのを見た」と言われた。

【参考】 いちじくの木の下
聖書に「いちじくの木の下」という言葉は4回登場します。
列王記上5:5「ダンからベエル・シェバに至るまで」は、「イスラエル」を表す定型句(ダンが北端、ベエル・シェバが南端)です。

聖句から「いちじく(ぶどう)の木の下」とは、神に祝福された平和な状態、戦争や権力者による抑圧から解放された人々の豊かで安定した生活を意味していることが分かります。

49ナタナエルは答えた。「ラビ、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です。」

50イエスは答えて言われた。「いちじくの木の下にあなたがいるのを見たと言ったので、信じるのか。もっと偉大なことをあなたは見ることになる。」

51更に言われた。「はっきり言っておく。天が開け、神の天使たちが人の子の上に昇り降りするのを、あなたがたは見ることになる。」