聖書の成立年代と記者

テモテへの手紙二3:16には、「聖書はすべて神の霊(God-breathed/inspiration of God)の導きの下に書かれ、人を教え、戒め、誤りを正し、義に導く訓練をするうえに有益です」とあります。聖書は40人以上のそれぞれ異なった背景を持つ人たちによって、1600年の長きに渡って書き続けられていながら、不思議な統一性と調和があります。以下、聖書の成立年代(諸説あります)と記者を記します。

<旧約聖書39巻>

▶創世記(ゲネシス)、出エジプト記(エクソドス)、レビ記、民数記:BC1440頃~1400頃、申命記(第2の律法):BC1410頃=モーセ五書→預言者(元羊飼い)モーセ

▶ヨシュア記:BC1400頃~1370頃→指導者(ヌンの子)ヨシュア

▶士師記BC1045頃~1000頃、ルツ記:1011頃~931頃、サムエル記上、サムエル記下:960頃→預言者サムエル

▶列王記上、列王記下:BC560頃~540頃→預言者エレミヤ

▶歴代誌上、歴代誌下:BC450頃~425頃、エズラ記:460頃~440頃、ネヘミヤ記※1:445頃~420頃→律法学者、祭司、書記官の預言者エズラ

※1:元来は、エズラ記と併せ一巻をなしていた。題名は、バビロン捕囚からの解放後、エルサレムに派遣されたペルシャの総督(もしくは宦官)で、エルサレムの城壁を再建し、民族の復興に尽力したとされる人物ネヘミヤに由来している。「エズラ記」での6章と7章の間に当る時代に相当すると考えられている。

▶エステル記:BC460~350→モルデカイ(エステル記の重要な登場人物)、またはエズラかネヘミヤ(ペルシア文化に詳しかった可能性が高い)

▶ヨブ記:モーセが著者の場合はBC1440頃、ソロモンが著者の場合はBC950頃

▶詩編:1000年もの年月をかけて書かれ、BC537頃に編集された。→作者等不詳

▶箴言:BC900頃、コレヘトの言葉:BC935頃、雅歌(ソロモンの雅歌):BC965頃
→ダビデ王の子でイスラエル統一王国(イスラエル王国)の第3代の王ソロモン

▶イザヤ書:BC701頃~681頃→預言者イザヤ

▶エレミヤ書:BC630頃~580頃、哀歌:586頃~575頃→預言者エレミヤ

▶エゼキエル書:BC593頃~565頃→預言者エゼキエル

▶ダニエル書:BC540頃~530頃→預言者ダニエル

▶ホセア書:BC755頃~725頃→預言者ホセア

▶ヨエル書:BC835頃~800頃→預言者ヨエル

▶アモス書:BC760頃~753頃→預言者アモス

▶オバデヤ書:BC848頃~840頃→預言者オバデヤ

▶ヨナ書:BC793頃~758頃→預言者ヨナ

▶ミカ書:BC735頃~700頃→預言者ミカ

▶ナホム書:BC663頃~612頃→預言者ナホム

▶ハバクク書:BC610頃~605頃→預言者ハバクク

▶ゼファニア書:BC735頃~725頃→預言者ゼファニア

▶ハガイ書:BC520頃~000頃→預言者ハガイ

▶ゼカリヤ書:BC520頃~470頃→預言者ゼカリヤ

▶マラキ書:BC440頃~400頃→預言者マラキ

<新約聖書27巻>

▶マタイによる福音書: AD80頃~90頃→元徴税人の使徒マタイ

▶マルコによる福音書: AD70頃→使徒マルコ

▶ルカによる福音書: AD80頃~90頃→元医者の使徒ルカ

▶ヨハネによる福音書: AD90頃~110頃→ゼベダイの息子で元漁師である使徒ヨハネ

▶使徒言行録: AD85頃→元医者の使徒ルカ

▶ローマの信徒への手紙: AD56頃~58頃、コリントの信徒への手紙一、コリントの信徒への手紙二:55頃、ガラテヤの信徒への手紙:48頃~55頃、エフェソの信徒への手紙:60頃~63頃、フィリピの信徒への手紙:61頃、コロサイの信徒への手紙:58頃~62頃、テサロニケ信徒への手紙一、テサロニケ信徒への手紙二:50頃、テモテへの手紙一、テモテへの手紙二:62頃~66頃、テトスへの手紙:66頃、フィレモンへの手紙:60頃→元テント職人である使徒パウロ

▶へブライ人への手紙:AD65頃→(元テント職人)使徒パウロ/パウロの協力者シラス、ルカ他?

▶ヤコブの手紙:AD45頃→イエス・キリストの兄弟ヤコブ(義人ヤコブ)

▶ペトロの手紙一、ペトロの手紙二:AD60頃~65頃→使徒ペトロ(シモン・ペトロ、ペテロ、ケファ)

▶ヨハネの手紙一、ヨハネの手紙二、ヨハネの手紙三:AD85頃~95頃→使徒ヨハネ

▶ユダの手紙:AD60頃~80頃→イエスの兄弟(ヤコブ、ヨセフ、シモン〈シメオン〉、ユダ、妹2人)のユダ

▶ヨハネの黙示録:AD95頃→使徒ヨハネ

㊟成立年代には諸説あります。