013 イエス、誕生後の40日間(ルカによる福音書2:21~38)
013 神殿で献げられる等

イエスの割礼

21八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。
→割礼:生後八日目に男児の性器の包皮を切り取る儀式(創世記17:9~14、レビ記12:3)。
→イエス:ヨシュア(ヘブライ語)=主は救い

エルサレム詣で

22さて、モーセの律法に定められた彼らの清めの期間が過ぎたとき、両親はその子を主に献げるため、エルサレムに連れて行った。
→40日間(出産した女性への恵みの期間)の流れ
⓵清めの期間が過ぎたとき:ユダヤ人女性は出産後、7日間、宗教的に汚れる(→儀式的な汚れ)とされた(レビ記12:1~8)。
8日目(→新生児が最も免疫力があるとされる)に割礼を施す。
女性が男児を出産した場合、七日間家に留まらなければならず、八日目に男児は割礼を受けた。
⓷その後、母親は更に33日間家に留まった。一連の社会生活から離れた期間が終わった後、再び清い状態に戻るため神に犠牲をささげた(2:24)。

23それは主の律法に、「初めて生まれる男子は皆、主のために聖別される」と書いてあるからである。
→初めて生まれる男子:初めて生まれる男子は神のものである(出エジプト記13:2、13:12、34:19)。

24また、主の律法に言われているとおりに、山鳩一つがいか、家鳩の雛二羽をいけにえとして献げるためであった。
→レビ記12:6~8

預言者シメオオン

25そのとき、エルサレムに(預言者)シメオンという人がいた。この人は正しい(敬虔な)人で信仰があつく、イスラエルの慰められるのを待ち望み、聖霊が彼にとどまっていた。
26そして、主が遣わすメシアに会うまでは決して死なない、とのお告げを聖霊から受けていた。

27シメオンが“霊”に導かれて神殿の境内に入って来たとき、両親は、幼子のために律法の規定どおりにいけにえを献げようとして、イエスを連れて来た。

28シメオンは幼子を腕に抱き、神をたたえて言った。
→シメオンの賛歌(2:29~32)はラテン語訳の冒頭部をとって、ラテン語で「ヌンク・ディミッティス」(今こそ私を去らせてください)とも呼ばれている。

<シメオンの賛歌>2:29~32
29「主よ、今こそあなたは、お言葉どおり/この僕を安らかに去らせて(→死なせて)くださいます。
30わたしはこの目であなたの救いを見たからです。
31これは万民のために整えてくださった救いで、
32異邦人を照らす啓示の光、/あなたの民イスラエルの誉れです。」
→異邦人を照らす啓示の光:シメオンの賛歌はイザヤ書42:6、49:6、52:10に言及している。また、パウロとバルナバは、自分たちが全世界の異邦人へイエスの言葉を宣べ伝え、イエスの御業を実行するため選ばれたのだと言及する(使徒言行録13:46、47)。
→人はに臨んでも喜ぶことができる。
→最後の敵(パウロ)→コリントの信徒への手紙一15:54b~55
「死は勝利にのみ込まれた。死よ、お前の勝利はどこにあるのか。死よ、お前のとげはどこにあるのか。」
→エリサベトの歌(1:42~45)、マリアの賛歌(1:46~55)、ザカリアの歌(1:68~79)

33父と母は、幼子についてこのように言われたことに驚いていた。

34シメオンは彼らを祝福し、母親のマリアに言った。「御覧なさい。この子は、イスラエルの多くの人を倒したり立ち上がらせたりするためにと定められ、また、反対を受けるしるしとして定められています。
35――あなた自身も剣で心を刺し貫かれます――多くの人の心にある思いがあらわにされるためです。」

預言者アンナ

36また、アシェル族のファヌエルの娘で、アンナ(=ハンナ:ヘブライ語)という女預言者(最初の伝道者)がいた。非常に年をとっていて、若いとき嫁いでから七年間夫と共に暮らしたが、
37夫に死に別れ、八十四歳になっていた。彼女は神殿を離れず、断食したり祈ったりして、夜も昼も神に仕えていたが、
38そのとき、近づいて来て神を賛美し、エルサレムの救いを待ち望んでいる人々皆に幼子のことを話した。
→アンナ:預言者アンナとその父ファヌエルの詳細については不明である。
アシェル族は、イスラエル十二部族の一つで、ヤコブの12人の息子の一人アシェルから名付けられた(創世記30:12、13)。→断食:ユダヤ人は食事を断つことがあり、これは、神への熱き思いを示し、自らの罪を悔いる行為として行われた。

【参考】 待ち望んで(旧約)

【参考】 待ち望んで(新約)