黒死病とユダヤ人追放令

中世の最大のユダヤ人に対する迫害、それが「黒死病(ペスト)とユダヤ人追放令」です。

1347年から50年にかけて、中世ヨーロッパでは、人口の約3分の1がペストの犠牲者になりました。

当時は医学が発達しておらず、ペストの原因としては、大気汚染説、死神説、魔女説、ネズミ説などがあり、その中で「ユダヤ人が井戸に毒を盛ったから死んだんだ」とするユダヤ人説があります。

ユダヤ人はペストの犠牲者が少なかったからです。この頃のユダヤ人は裕福で、ペストを予防でき、ユダヤ人の戒律の食事規制が健康を保つ一因となったのです。

「なぜ、ユダヤ人の犠牲者が少ないのか。ユダヤ人のせいだ」として、多くのユダヤ人が殺され、また追放されました。

「感染症対人類の世界史」 池上彰+増田ユリヤ・著 ポプラ社刊

マルコによる福音書7:3~4
ファリサイ派の人々をはじめユダヤ人は皆、昔の人の言い伝えを固く守って、念入りに手を洗ってからでないと食事をせず、また、市場から帰ったときには、身を清めてからでないと食事をしない。