カフェ・ソスペーゾ

イタリア南部ナポリのバール(bar軽食喫茶店)には、今でも残る習慣があります。1杯のエスプレッソを注文する人が2杯分の代金を支払い、見ず知らずの貧しい人のために、1杯分のエスプレッソをストックさせておくのです。こうしてストックされたエスプレッソのことを、「カフェ・ソスペーゾ」(Caffè Sospeso)といいます。

余裕のある人は自分のコーヒー代を払って、さらに「もう1杯分」の支払いもする。

もう1杯のコーヒーを飲むのは「保留」(=sospeso、ソスペーゾ)にして、お金に困った人がバールに来たとき、エスプレッソを提供するのです。

イタリアがその長い歴史において最も困難な時期にあった第二次世界大戦中、ナポリで生まれた習慣だそうです。わずかワンコインの思いやり、人情味あふれるイタリア人の飾らないバールの日常です。

彼らは助け合い、互いに励ましの声をかける。(イザヤ書41章6節)