084 嵐の湖での弟子訓練(湖の上を歩く)
マタイによる福音書14:22~33、マルコ6:45~52、ヨハネ6:15~21
マルコによる福音書06:53~56
湖の上を歩く(マタイによる福音書14:22~33)
22それからすぐ、イエスは弟子たちを強いて舟に乗せ、向こう岸(→❹ベトサイダ[マルコ6:45])へ先に行かせ、その間に群衆を解散させられた。
→「強いて舟に載せた」理由:①群衆から遠ざけ休ませる、②五千人のパンの奇跡の意味を考えさせる、③イエス自身が一人になり山で祈るため(23節)。
23群衆を解散させてから、祈るためにひとり山にお登りになった。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
24ところが、舟は既に陸から何スタディオン(約185m/スタディオン)か離れており、逆風の(向かい風)ために波に悩まされていた。
→ガリラヤ湖は、アフリカ大地溝帯※1と呼ばれる、シリア高原からアフリカのビクトリアの滝まで走る渓谷に沿って位置しています。大地溝帯沿いには、いくつかの湖や海があります。ガリラヤ湖があり、死海があり、南には紅海があります。今はもうありませんが、昔は、それらに加えてもう一つ、北部のフラ渓谷に、スペリオル湖と呼ばれる小さめの湖がありました。そのころのガリラヤ湖は、今よりもずっと多くの水量があり、水質も今よりもずっときれいでした。ガリラヤ湖は、四方向からの風がぶつかり易く、午後に吹き込んでくる従来の東風と、地中海から吹いてくる西の微風、それに加えて、北と南からも、アフリカ大地溝帯からの風(空気)が流れてきます。時には、四方向から吹いてくる風が衝突し合う場所となるのです。この風のぶつかり合いは、なかなか予測出来る訳ではありません。午後になると東風が吹いてくることは知られていますが、他方向からの風がいつ吹いてきて嵐となるのかは、予測がつかないのです。ですから、イエスが弟子たちに「さあ、湖の向こう岸へ渡ろう」などと言われた時、それは彼らにとって大問題で、弟子たちは恐らく、「本当に渡れるんだろうか」と心の中で思ったことが予想できます。
今回も、敢えて向こう岸に舟で渡ろうとする人などいないような時間帯の夕暮れ時だったのです。