048 十二使徒の選抜 マタイ、トマス
(マタイによる福音書10:1~4、マルコによる福音書3:13~19)

ルカによる福音書6:12~16
12そのころ、イエスは祈るために山(NIV:a mountainside、 NKJV:the mountain)に行き、神に祈って夜を明かされた。
13朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。
14それは、イエスがペトロと名付けられた❶シモン、その兄❷アンデレ、
そして、❸ヤコブ(=大ヤコブ、ゼベダイの子、ヨハネの兄)、❹ヨハネ(=大ヤコブの弟、最年少)、❺フィリポ、❻バルトロマイ(=ナタナエル)、
15❼マタイ(=レビ、徴税人)、❽トマス、アルファイの子❾ヤコブ(=小ヤコブ、義人ヤコブ)、熱心党(→ギリシア語「ゼーローテス」(熱心な者)、ローマに対抗して戦ったユダヤ人グループのメンバーに付けられた名称)と呼ばれた❿シモン、
16ヤコブの子⓫ユダ(=タダイ)、それに後に裏切り者となったイスカリオテ(→ユダヤの地域「ケリオテ」の出身)の⓬ユダである。

<1>マタイ
❼マタイ Matthaeus
→Mathew「神の賜物」ヘブライ語 アルファイの子、徴税人/小ヤコブと兄弟
マタイ(=アルファイの子レビ→マルコによる福音書2:14、「ヤハウェからの贈り物」という意味がある)は徴税人で、ユダヤ人社会からのけ者にされていた。徴税人は、ローマ帝国から徴税業務を請け負った者で、決まった額を当局に納めなければならなかったが、余った分は自分の収入になった。そのため、徴税人は取り立てられるだけ取り立てようとするため、住民からは嫌われていた。イエスは収税所にいるマタイに「私に従いなさい」と声をかけ、彼は仕事を捨てて従った。
キリストの死後、エルサレムの教団内に留まり、その後エチオピアあるいはトルコのヒエラポリスで殉教したとされる(マタイの殉教には諸説ある)。

<2>トマス
❽トマス Thomas
→Thomas「双子」アラム語 あだ名:「ディディモ」、漁師または大工/ガリラヤ出身
思ったことを隠せない正直者で、見たものしか信じられない愚直なところがあった。イエスの復活も信じることができず、「疑い深きトマス」といわれる。最後の晩餐の席で、イエスが死を予言して父の家に行くといったときは、トマスだけは正直に疑問を呈した。復活したイエスから、「信じない者ではなく、信じる者になりなさい」と言われ、もはや疑うことはできず、イエスの復活を信じた。
トマスはインドまで赴いて宣教し、南インドで、バラモン教徒により槍で突き刺され、殉教したとされているが、史実的な裏づけはない。