「罪」についての三大用語(ヘブライ語の3つの「罪」)

<1>ハッタート

「ハッタート」:「罪sin」と訳される。

動詞の「ハーター」は「罪を犯す、的をはずす、目的を見失う、罪に陥る」という意味で、ギリシア語では「ハマルタノー」「確立された基準を満たさない」または「非難に価する行い」を指します。

意図のない罪、犯罪、もしくは過ち。失敗、逸脱、犯罪、過失などを意味する語に由来する。

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的が外れていることから、以下の「咎」「悪」「不義」「ゆがみ」「ひずみ」を意味する「アーヴォーン」と、「神に背く」「神と争う」罪である「ペシャ」がもたらされます。

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<2>アーヴォーン(アウォン)

「アーヴォーン」「アウォン」:「咎」または「悪」「不義」と訳される。→感情によっておかされた罪

意識的にされるが、神を冒涜するために犯されたものではないもので、邪悪や過ち・非道・害などの倫理的な悪を意味する語に由来する。神の前に立つ資格が無くなることを思い起こす時にこの言葉が使われました。

<3>ペシャ

「ペシャ」:「背きの罪」「神にそむく、争う」と訳される。→意図的におかされた罪

これは、神に対する冒涜の罪を表す言葉で、神の御心に反していることを十分わかった上で犯す罪を指し、刑罰に価する犯罪のことを指します。この言葉の語源には、「壊す」という意味があります。

旧約聖書時代、「罪」とモーセの律法は切っても切り離せない関係にありました。なぜなら、ユダヤ人にとって罪とは、神がモーセとの契約の中で与えた命令から外れたことを行うことを示し、罪とは人に犯すよりも神に対して犯すものだと考えられていたからです。

そのため、罪とされるものの中には道徳とまったく無関係なものも数多く含まれていました。

代表例として、レビ記11章の禁止規定、や「あなたたちはわたしの掟を守りなさい。二種の家畜を交配させたり、一つの畑に二種の種を蒔いてはならない。また二種の糸で織った衣服を身に着けてはならない(レビ記19:19)」などがあります。

イザヤ書59章1~2、12
01主の手が短くて救えないのではない。主の耳が鈍くて(→遠くて)聞こえないのでもない。
02むしろお前たちの【悪】(=過ち、咎:アーヴォーン)が/神とお前たちとの間を隔て/お前たちの【罪】(→ハッタート)が神の御顔を隠させ/お前たちに耳を傾けられるのを妨げているのだ。
12御前に、わたしたちの【背きの罪】(=ペシャ)は重く/わたしたち自身の【罪】(=ハッタート)が不利な証言をする。【背きの罪】(=ペシャ)はわたしたちと共にあり/わたしたちは自分の【咎】(=過ち、アーヴォーン)を知っている。