005 イエス・キリストの系図にある4人の
(マタイによる福音書1:1~17)

◆マタイによる福音書1:3
ユダはタマルによってペレツとゼラを、ペレツはヘツロンを、ヘツロンはアラムを、

◆マタイによる福音書1:5
サルモンはラハブによってボアズを、ボアズはルツによってオベドを、オベドはエッサイを、

◆マタイによる福音書1:6
エッサイはダビデ王をもうけた。ダビデはウリヤの妻によってソロモンをもうけ、

タマル
ユダの長男エルの妻となった。夫エルが子を残さずに死んだために習慣に従ってその弟オナンと結婚したが、彼もまた子供を残さずに死んでしまった。本来なら、ここで彼女はユダの三男シェラと結婚するはずだったが、ユダはそれを拒み、タマルを実家に返した。子供を得ないままユダの家と絶縁することは、タマルにしてみれば社会的な保証を失うことだった。数年後、ユダが商用で近くの町に来たとき、彼女は遊女に変装してユダを誘った。ユダはそうと知らずにタマルと床を共にし、タマルは妊娠したが、彼女の妊娠を知ったユダはそれが姦淫によるものと考え、彼女を殺そうとした。このときタマルはユダから預かった印章と杖を見せ、彼女がユダによって身ごもったことを証明したのである。このためにタマルは許され、ユダの名を継ぐ双子ペレツとゼラを産んだ。

ラハブ
要塞都市エリコの城壁のすぐ内側に住んでいた遊女で、ヨシュアが派遣した2人のイスラエル人スパイがやってきたとき、彼女は町の支配者に密告するどころか、逆に2人をかくまって、イスラエルの攻撃に協力した。兵はラハブの家にやって来ると、家の中にいる者を引き渡せと命じた。しかし、ラハブは2人を屋上に積んであった亜麻の束の中に隠した上で、その2人は夕暮れに城門を出ていってしまったので、どこへ行ったのかわからないと嘘の証言をしたのである。ラハブは2人のスパイに、イスラエルがエリコを攻めるときには自分の一族を助けてくれるようにと訴えた。スパイたちは約束し、戦いが始まったら一族の全員を家の中に入れ、窓に赤い紐を垂らしておくようにと告げた。こうして、エリコ陥落の日にもラハブの一族だけは生き残り、それ以降はイスラエルの民と行動を共にしたのである。

ルツ
イスラエルで最も偉大な王ダビデの曾祖母にあたるモアブ人の女性。大飢饉から逃れるため、ユダ族のエリメレク、妻ナオミと2人の息子はモアブの地に移り住んだ。エリメレクの死後、2人の息子たちはそれぞれモアブの女オルパ、ルツというその土地の女を嫁にしたが、10年ほどして息子2人は死んでしまった。母ナオミは残された嫁たちを実家に返し、自分は出身地ベツレヘムに帰ろうと考えた。このとき、オルパは母の説得に従ったが、ルツは違った。彼女は老いた母を捨てられないといって、ナオミと一緒に他民族の地ベツレヘムに同行したのである。2人の暮らしは楽ではなく、ルツは他人の畑で落ち穂拾いをして家計を支えた。その畑の持ち主が偶然にも義父エリメレクの親戚である金持ちのボアズ(マタイによる福音書1:5a サルモンはラハブによってボアズを)のものだった。ルツがいかに献身的な女性であるかを知ったボアズは彼女を気に入り、間もなく2人は結婚したのである。
参考:ルツ(PDFファイル)

バト・シェバ(ウリヤの妻)
イスラエル王ダビデの妻でソロモンの母。彼女はもともとヒッタイト人ウリヤの妻だった。ところが、イスラエルがアンモン人と戦争状態にあり、夫ウリヤが出征していたとき、エルサレムの町に残っていたダビデが、ある日屋上を散歩していると、とても美しい女が水を浴びているのが目に入った。それがバト・シェバであった。ダビデは欲望に駆られて使いの者をやり、人妻だと知っていながら彼女と床を共にした。彼女は妊娠し、ウリヤの存在を消そうとしたダビデはウリヤを危険な戦場に送り出して殺したのである。こうして、バト・シェバはダビデの妻となったが、神はこのダビデの行為を怒り、この関係から生まれた子はすぐに死ぬことになった。後に、ソロモンが生まれることになる。
参考:ウリヤとバト・シェバ(PDFファイル)