スケートボード、ディダル選手
今、ネットで大きく注目を集めるある選手がいる。
東京オリンピック2020でスケートボード7位に入賞した「マルジエリーン・ディダル」選手(1999年4月19日生まれ、フィリピン)だ。TVで観た方もいると思うが、彼女は常に笑顔だった。そして彼女は、家族を貧困から救った小さな英雄だった。
ディダル選手はフィリピン有数の観光地、セブ島の出身だ。最初にスケートボードに出会ったのは今から10年前の12歳の時。お金がなく買うことができなかったスケボーを友人から借りて遊んだ。ボードに乗ると、夢中になり、腕をどんどん磨いていった。
父親は大工で母親は露天商、家は決して豊かではなかった。今の日本では信じられないが、初めて大会に出て賞金を手にしたとき、思ったことは「これでお米が買える」だった。後、彼女は競技で得た賞金を家族のために使い、立派な家に引っ越しをさせた。そんな彼女がオリンピックで見せた爽やかな笑顔。そして、関係者らが座る観客席へ大きく一礼し、日本語で「ありがとう!」と大きく叫んだあの礼儀正しさ。
TVを観ていた人たちのほとんどが彼女の素晴らしさに感動し、スケボーに対するイメージを変えた。
これからも応援していきたいと思ったのは私だけではないだろう。(土師 萌)
ヨブ記29:24
彼らが確信を失っているとき/わたしは彼らに笑顔を向けた。彼らはわたしの顔の光を/曇らせることはしなかった。
マルジエリーン・ディダル選手(フィリピン)(GETTY IMAGES)
NHK R1 2021.08.12 三宅民夫のマイあさ! ワールドリポート
「笑顔の五輪ボーダーが残したもの」