ひゞのをしへ 二へん (福沢諭吉)
とうざい、とうざい。ひゞのをしへ二へんのはじまり。おさだめのおきては六かでう、みゝをさらへてこれをきゝ、はらにおさめてわするべからず。
だい一
てんとうさまをおそれ、これをうやまい、そのこゝろにしたがふべし。たゞしこゝにいふてんとうさまとは、にちりんのことにはあらず、西洋のことばにてごつどゝいひ、にほんのことばにほんやくすれば、ざうぶつしや(造物者、創造主)とといふものなり。
だい二
ちゝはゝをうやまい、これをしたしみ、そのこゝろにしたがふべし。
だい三
ひとをころすべからず。けものをむごくとりあつかひ、むしけらをむゑきにころすべからず。
だい四
ぬすみすべからず。ひとのおとしたるものをひらふべからず。
だい五
いつはる(偽る)べからず。うそをついてひとのじやまをすべからず。
だい六
むさぼるべからず。むやみによくばりてひとのものをほしがるべからず。
これは聖書を参考にしたのは明らかで、人はその神の御心に従って生きるべき存在であることを、子ども達に教えている。
福沢諭吉自身はクリスチャンではないが、『ひびのをしへ』を学んだ長男一太郎、三女の俊、四女の滝もクリスチャンとなっており、その孫の代になるとさらに多くのクリスチャンが福沢家から出ている。
底本: 福澤諭吉『ひゞのをしへ』初編・二編、財団法人 福澤旧邸保存会発行
目次:
1.#ひゞのをしへ 初編
2.#ひゞのをしへ 二編
参考:ひびのおしえ