信義誠実の原則(信義則)

信義誠実の原則(=信義則)を調べてみますと、次のように記されていました。

▶信義誠実の原則(=信義則)とは、
❶私法上、権利の行使や義務の履行にあたり、社会生活を営む者として相手方の信頼や期待を裏切らないように誠意を持って行動することを求める法理、
❷社会共同生活において、権利の行使や義務の履行は、互いに相手の信頼や期待を裏切らないように誠実に行わなければならないとする法理、を言います。

▶民法では
民法の第一条第2項に規定されているのが、民法の基本原則です。
民法の基本原則は、①公共の福祉、②信義誠実の原則(=信義則)、③権利濫用の禁止の3つから構成されています。
→民法 第一編 総則 第一章 通則(基本原則)
第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3 権利の濫用は、これを許さない

【参考】 税法における信義則の適用について-その法的根拠と適用要件 (国税庁のホームページより抜粋)
何人も、社会共同生活の中においては、その一員として信義に合し誠実を旨として行動することを要請される。この倫理的規範を法律において尊重し、法律関係もこれに準拠すべきことを要求するのが、ドイツ法的にいえば信義誠実の原則あるいは信義則(Treu und Glauben)であり、英米法的にいえば禁反言の原則(estoppel)であるが、以下本稿においてはこれを「信義則」ということとする。
信義則は、公序良俗の観念とともに、法と道徳との調和を図るための重要な観念とされ、もともと私法の分野で私法上の法律関係を律する(沿革的には債務の誠実な履行を旨とした)基本的な法理の一つとして発展してきたものである(注1)。
・・・略・・・
なお、税法における信義則は税務官庁及び納税者の双方に適用されるべきものであるが、本稿においては特に税務官庁側に適用される場合について検討を試みたい。

(注1)民法第1条第2項に定める「権利ノ行使及ヒ義務ノ履行ハ信義二従ヒ誠実ニ之ヲ為スコトヲ要ス」の規定は、従前から、判例学説によって、裁判の具体的妥当性を実現すべき私法上の原理として認められていたところ、ほぼ理論的にも確立されたということで、昭和22年の民法改正の際明文化された。

*******************税務大学校 租税理論研究室 助教授品川 芳宣

税法における信義則の適用について

箴言8:20 慈善の道をわたしは歩き/正義の道をわたしは進む。