菜食

菜食主義は、①「ビーガン(vegan)」、「ビーガニズム(veganism、完全菜食主義、絶対菜食主義)」と②「ベジタリアン(vegetarian)」に大きく分けられます。

概して言えば、ビーガンは植物性食品のみを食べ、動物性食品は一切食べない完全菜食主義者で、卵・乳製品・ハチミツも食べません。一方、ベジタリアンは肉や魚を食べない人たち(考え方)を言います。

都庁食堂でもベジ・メニューが提供されています(下図をクリックすれば見れます)。

完全菜食主義(絶対菜食主義)のビーガンという言葉は、1944年に英国ビーガン協会(The Vegan Society)が設立された際に初めて使われました。食物だけに限定するのではなく、身の回りからできるだけ動物由来のものを避けることで動物の命を尊重する人たちを「エシカル・ビーガン(Ethical Vegan)」、火を通さない生菜食、未加工の食物のみを食べる人たちを「ロービーガン (Raw Vegan)」と呼んでいます。

また、主義主張の点から、次のような区別もあります。
動物の商品化を否定し、あらゆる目的での動物製品の使用を避ける「エシカル・ビーガニズム」、食事から動物製品のみを食べない「ダイエタリー・ビーガニズム(純菜食主義)」、畜産業が環境を害していることを理由として動物製品の使用を避ける「エンバイロメンタル・ビーガニズム」があります。

また、ビーガン協会では、「ビーガニズムとは、人間は動物を搾取することなく生きるべきだという主義」と定義しています。

ベジタリアンのベジとは、ラテン語のvegetus(ベジェトゥス)が語源で、「健全な」「新鮮な」「活力のある」という意味(野菜vegetablesのvegeが語源ではない)で、1847年に発足した英国ベジタリアン協会で初めて使われました。

ベジタリアンには、①ラクト・ベジタリアン(lacto-vegetarian、植物性食品と乳製品は食べる)、②ラクト・オボ・ベジタリアン(lacto-ovo-vegetarian、植物性食品と乳製品、卵は食べる)、③ペスコ・ベジタリアン(pesco-vegetarian、肉類は避けるが植物性食品と魚、卵、乳製品は食べる)等があります。

菜食主義の考え方から、
20世紀初頭、ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ(John Harvey Kellogg、1852年2月26日~1943年12月14日)※1は、「動物のたんぱく質が腸内の細菌を繁殖させ、その毒によって健康を害する」という、自家中毒説を唱えました。弟のウィル・キース・ケロッグ(Will Keith Kellogg)と考案した菜食者用のコーンフレーク(水で練ったコーンミールを加熱してから圧搾し、長さ1cm程度の薄い破片に成型したシリアル食品)の「ケロッグ」は非常に有名である。

※1:アメリカバトルクリーク出身の医学博士。1906年設立(バトルクリークトーストコーンフレーク会社、1922年にケロッグ社と改称)のケロッグ社の初代社長ウィル・キース・ケロッグ(Will Keith Kellogg)の兄。