049 十二使徒の選抜
アルファイの子ヤコブ、熱心党のシモン、ヤコブの子ユダ(=タダイ)
(マタイによる福音書10:1~4、マルコによる福音書3:13~19)

ルカによる福音書6:12~16
12そのころ、イエスは祈るために山(NIV:a mountainside、 NKJV:the mountain)に行き、神に祈って夜を明かされた。
13朝になると弟子たちを呼び集め、その中から十二人を選んで使徒と名付けられた。
14それは、イエスがペトロと名付けられた❶シモン、その兄❷アンデレ、
そして、❸ヤコブ(=大ヤコブ、ゼベダイの子、ヨハネの兄)、❹ヨハネ(=大ヤコブの弟、最年少)、
❺フィリポ、❻バルトロマイ(=ナタナエル)、
15❼マタイ(=レビ、徴税人)、❽トマス、アルファイの子❾ヤコブ(=小ヤコブ、義人ヤコブ)、熱心党(→ギリシア語「ゼーローテス」(熱心な者)、ローマに対抗して戦ったユダヤ人グループのメンバーに付けられた名称)と呼ばれた❿シモン、
16ヤコブの子⓫ユダ(=タダイ)、それに後に裏切り者となったイスカリオテ(→ユダヤの地域「ケリオテ」の出身)の⓬ユダである。

<1>アルファイの子ヤコブ
❾ヤコブ Jacobus
→James「かかとをつかむもの」ヘブライ語 小ヤコブ、義人ヤコブ、アルファイの子
ヤコブはイエスの親族(弟→マタイによる福音書13:55、マルコによる福音書6:3、または従兄→カトリック等)で、「アルファイの子ヤコブ」あるいは「小ヤコブ」といわれる。イエスと顔がよく似ていたと言われているが、十二使徒の中では目立たない存在で、名前しか知られていない。教会を代表する人物として活躍し、初代エルサレム司教になった。「ヤコブの手紙」の著者といわれている。
エルサレムの神殿の屋根から突き落とされ、頭をこん棒でたたき割られて殉教したといわれている。

<2>熱心党と呼ばれたシモン
❿シモン(熱心党のシモン) Simon
→Simon「聞いている」ヘブライ語 反ローマ帝国の過激派組織「熱心党」
シモン(古代のユダヤ人に由来する人名。元々はユダヤ名のシメオン=Simeon)はイエスの弟子になる転向前は、ローマの支配に抵抗する愛国グループ熱心党のメンバーだった。熱心党のメンバーだっただけにかなり過激な人物だったと想像できる。シモンはローマ人を屈服させられる指導者を探しており、その姿をイエスに重ね合わせていたのかもしれない。シモンは十二使徒の中ではヤコブの子ユダとも呼ばれるタダイと行動することが多かったようで、いつも名前が並べられている。
キリストの磔刑(たっけい)後エジプトに伝道し、その後、ユダ(タダイ)とともにペルシアやアルメニア(西アジアの南コーカサスに位置する共和制国家)で活動し、ペルシアで、現地の魔術師によって鋸で2つに切られ、殉教したとされる。

<3>ヤコブの子ユダ
⓫ユダ(タダイ) Judas
→Judas「褒められた」ヘブライ語/小ヤコブの兄弟または子
タダイ(ユダ)に関する伝承は定かではないが、小ヤコブの兄弟であったともイエスの親族(主の兄弟)だったともいわれる。十二使徒として活動を共にしてはいたが、福音書には名前しか出てこない(マタイによる福音書10:3、マルコによる福音書3:18の2か所のみ)。
イエスを裏切った「イスカリオテのユダ」とは別人で、「イスカリオテのユダ」と区別するため、「ヤコブの子ユダ」(ルカによる福音書6:16、使徒言行録1:13の2か所のみ)とも呼ばれている。イエスを裏切って自殺した「イスカリオテのユダ」との混同を避けるために軽視されてきた(?)ようで、「忘れられた聖人」とも呼ばれた。タダイはバルトロマイとともにエデッサ(現ウルファ、トルコ南東部)やアルメニア(西アジアの南コーカサスに位置する共和制国家)に宣教したといわれる。彼らによってアルメニアに初めてキリスト教がもたらされたとされ、アルメニア使徒教会は、彼らによって建てられた教会と伝えられている。
ペルシアで斧で殺害され、シモンとともに殉教したといわれている。
→ユダの手紙1節
イエス・キリストの僕で、ヤコブの兄であるユダから、父である神に愛され、イエス・キリストに守られている召された人たちへ。