015 エジプトからナザレへ (マタイによる福音書2:13~23)
▶エジプトに避難する
13占星術の学者たちが帰って行くと、主の天使が夢でヨセフに現れて言った。「起きて、子供とその母親を連れて、エジプトに逃げ、わたしが告げるまで、そこにとどまっていなさい。ヘロデが、この子を探し出して殺そうとしている。」
→エジプトは、ローマの属州で、かつては、イスラエルの民を奴隷にした国であった。しかし、ここでは逃れの地(場)となっていて、当時100万人位のユダヤ人がおり、ユダヤ人共同体をつくっていた。
14(すぐに)ヨセフは起きて(→立って)、夜のうちに(密かに)幼子とその母を連れてエジプトへ去り、
15ヘロデが死ぬまでそこにいた。それは、「わたしは、(イスラエルの民が救われたように)エジプトからわたしの子を呼び出した」と、主が預言者を通して言われていたことが実現するためであった。
→まだ幼かったイスラエルをわたしは愛した。エジプトから彼を呼び出し、わが子とした(ホセア書11:1)。
▶ヘロデ、子供を皆殺しにする(ベツレヘムから約100㎞離れたエジプトへ)
16さて、ヘロデは占星術の学者たちにだまされたと知って、大いに怒った。そして、人を送り、学者たちに確かめておいた時期に基づいて、ベツレヘムとその周辺一帯にいた二歳以下の男の子を、一人残らず殺させた(→当時の人口等から20人前後と思われる)。
17こうして、預言者エレミヤを通して言われていたことが実現した。
→主はこう言われる。ラマで声が聞こえる/苦悩に満ちて嘆き、泣く声が。ラケルが息子たちのゆえに泣いている。彼女は慰めを拒む/息子たちはもういないのだから(エレミヤ書31:15)。
18「(エルサレムの北にある)ラマで声が聞こえた。激しく嘆き悲しむ声だ。ラケルは子供たちのことで泣き、/慰めてもらおうともしない、/子供たちがもういないから。」
→ベツレヘムの母親たちは自分の息子を失い、嘆き悲しんでいる。
▶エジプトから帰国する(エジプトからナザレNazareth へ)
19(BC4年に)ヘロデが死ぬと、主の天使がエジプトにいるヨセフに夢で現れて、
20言った。「起きて、子供とその母親を連れ、イスラエルの地に行きなさい。この子の命をねらっていた者どもは、死んでしまった。」
21そこで、ヨセフは起きて、幼子とその母を連れて、イスラエルの地へ帰って来た。
ところが、夢でお告げがあったので、ガリラヤ地方に引きこもり、
23ナザレという町に行って住んだ。「彼はナザレの人と呼ばれる」と、預言者たちを通して言われていたことが実現するためであった。
→実際は、聖書のどこにも「彼はナザレの人と呼ばれる」という預言はどこにもない。
→聖書に、アルケラオの名前は、この聖句にしか登場しない。
アルケラオはガリラヤ地方での権限は一切持っていなかったので、ヨセフはマリアやイエスと共にガリラヤで安全に暮らした。