敵対と共生のはざまで
本来、ウイルスは動物の細胞の中で増殖し存続をはかっている。その結果として病気を引き起こし、ウイルスによっては悲惨な結果をもたらすものがあることは事実である。しかし、すべてのウイルスがそうではないことも事実である。
現在、われわれの周囲に存在するウイルスの多くはおそらく数百万年から数千万年にもわたって宿主生物と平和共存してきたものである。
人間社会との遭遇はウイルスにとっては、その長い歴史の中のほんの一コマに過ぎない。しかし、わずか数十年の間にウイルスは人間社会の中で、それまでに経験したことのないさまざまなプレッシャーをうけるようになった。
われわれにとっての激動の世界はウイルスにとっても同じなのである。
ウイルスは19世紀末に初めて、発見された。
そして、1939年には、初めて「タバコモザイクウイルス」が電子顕微鏡で捉えられた。
そして、ラテン語で「毒」を意味するウイルスと名付けられたのである。
そして、それから半世紀余りの間、ウイルスは微小な「細菌」と考えられていた。もちろん、ウイルスと細菌はまったく別の存在である。
→細菌とウイルスの違い
21世紀の初めに、シベリアの永久凍土に埋もれていた太古のウイルスが見つかり、しかも生きていたのは有名です。
古代のウイルスがよみがえりヒトに病気を引き起こすこともないとは言えないのである。
海は地球上で最大のウイルス貯蔵庫であることが認識され、われわれの体の中にも腸内細菌(細菌数100兆個×ウイルス10個/1細菌=1000兆個のウイルス)や皮膚常在菌などに寄生する膨大な数のウイルスが存在している。
つまり、われわれはウイルスに囲まれ、ウイルスと共に生きているのである。
参考:こころの時代-敵対と共生のはざまで(2020.6.14Eテレ)
参考:ヒトとウィルス 共生と闘いの物語(PDF版)
以下も参考にしてください。