デジタル化で“宗教改革”

新型コロナウイルスの感染拡大によって礼拝が中止となり、牧師の説教は講壇からオンラインへと場を移し、日本でもキリスト教会で大幅に遅れていたデジタル変革が加速する状況にあります。

一方では、心のよりどころを神や宗教に求める人が増加していると言われています。

アメリカでも、家庭内での礼拝を支えるため、牧師はユーチューブやフェイスブック等でのライブ配信を開始しており、また別の面で、様々な宗教関連アプリが急増していると言われています

こうしたアプリは、パンデミック(世界的大流行)の影響下で、宗教関連アプリは熱心な信者だけでなく、米国で近年増加している「SBNR(Spiritual But Not Religious、宗教を信じないが、霊性は信じている)」層や、宗教の微妙なニュアンスに細かく配慮したデジタル体験を求める層なども取り込んでいる、とも言われています。

去年(2020年)に行われた、米アプリ調査会社「アップアニー」によると、人気のキリスト教瞑想アプリの米国でのダウンロード数は3~8月の間に230万件に達し、前年同期の4.25倍に増えました。

これは、オンライン献金やソフトウエア管理、聖書研究会など、教会のあらゆる機能領域において、正にデジタル技術を駆使したクリエーティブな布教の需要が高まっていることの証明ともいうことができます。

以下、アメリカの宗教事情です。

キリスト教瞑想アプリ「アバイド」へは、物理的な集会が禁止される中で精神的よりどころを求める人々からの需要が急増している。14年にグーグル元社員によって設立された「アバイド」はオーディオ聖書や瞑想プログラムを制作している。新型コロナの流行以来、同アプリのユーザー数は45%増加、ユーザーのアプリ利用時間は52%増加したという。

アプリではソーシャルネットワーク機能もあり、ユーザーは「祈りのコミュニティー」を作成して他のユーザーと話し合うことができる。・・・

対面礼拝の機会が減ったことで収入減に苦しむ宗教団体も、新たな手段を模索している。

今後は仮想空間で教会を再現するだけでは不十分だ。信徒同士のつながりを保つための他の手段を探る必要がある」と教会設立を支援する非営利団体スタディア・チャーチ・プランティングのデジタル部門を設立したジェフ・リード氏は指摘する。

AR(拡張現実)やVR(仮想現実)といった新興プラットフォームで伝統的な宗教行事を執り行う試みも出てきている。「ロブロクシアン・クリスチャン」と呼ばれるオンライン組織は、オンラインゲームのロブロックス(Roblox=ユーザーがゲームをプログラムしたり、他のユーザーが作成したゲームをプレイしたりできるオンラインゲーミングプラットフォームおよびゲーム作成システム)で11歳の時に牧師を始めた大学生が創設した。「若者は教会とは人同士がつながる場所であって、建物のことではないと理解している」と創設者のダニエル・ヘロン氏は指摘する。ロブロクシアンは06年以来世界で3万5000人の会員を獲得。コロナの感染拡大でさらに会員数が増加しており、毎週日曜日の礼拝には約500~700の会員が参加している。

米大型教会「ライフ・チャーチ」のボビー・グリューネワルト牧師はデジタル教会のパイオニアの一人であり、今や数々のVC(venture capital)が彼の助言を求めている。ライフチャーチは車2台分の面積の教会だったが、今では毎週7万人を動員する国内最大級のデジタル教会の一つだ。グリューネワルト氏は世界最大の聖書アプリ「ユーバージョン」をも手掛けている。

グリューネワルト氏は「シリコンバレーは必ずしも宗教に対して友好的ではなかった。だが、宗教は改革の余地があり、VCはここ最近登場している宗教アプリが教会で祈ることとそう変わらないと理解し始めている」と指摘する。(ブルームバーグ Jackie Davalos)

出典:SankeiBiz  2021.06.01 谷口